透析療法―よく耳にするけれど、どういう病気の時に、どういった方法で行われるのかを詳しく知っている人は少ないのでは?
現在、国内の透析患者数は約27万人で、毎年約1万人ずつ増加しているといわれています。また、日本の透析に関する技術は、世界一といえるほど高いのだそうです。 せっかく高い技術があるのだから、私たち国民は病気と治療についての知識をしっかり持っておかないと!
透析につながる病気「腎不全」
腎臓の機能が低下し、その働きが正常の30%以下に落ちた状態を腎不全といいます。 腎機能が落ちると、不要な老廃物の排泄や体液のバランスをとることができなくなり、さまざまな症状が出てきます。 さらに機能が低下して、残っている腎臓の機能だけでは体のバランスを保つことができなくなると、透析療法や腎臓移植が必要になります。

透析療法ってなに?
透析は、腎臓に代わって人工的に血液中の老廃物や余分な水分を除去して、血液をきれいにする方法です。 これにより生命を維持することができるのですが、腎臓そのものを良くするものではないので、機能が回復するわけではありません。 また、腎臓の機能はさまざまで、それらをすべて代替する能力は透析にはないので、透析で代行できない機能は薬剤などでカバーします。
透析は腎臓を移植しないかぎり、生涯続けなければなりません。長く付き合うものですから、透析に関する正しい知識を持つことはとても重要です。
透析にはどんな方法があるの?
透析療法には、病院や透析クリニックで行う「血液透析」と、自宅や職場でできる「腹膜透析」の2種類があり、 病状や生活スタイルに合った治療を選択することが可能です。
血液透析(HD)
血液を体外に取り出し、透析器(人工の膜)に通すことによって血液を浄化します。きれいになった血液は再び体内に戻されます。 週3回・1日4時間ほど、主に医院への外来通院で行います。

腹膜透析(CAPD/APD)
お腹の中(腹腔《ふくくう》)に入れた透析液に、血液中の毒素や余分な水分を移動させ、それを体外へ出すことで血液をきれいにします。 1日3〜4回透析液を交換して治療をする方法(CAPD)と、日中の交換をなくし、夜寝ている間に機械を使って透析液の交換を行う治療法(APD)があります。 どちらも在宅での治療を基本としていて、通院は月1〜2回程度です。
職場や学校などでも透析液の交換ができるCAPDも比較的生活の自由度が高いのですが、APDは就寝中に透析液を交換するため、
さらに日中の自由な時間を多く確保できます。仕事をしているなど、時間的な制約をできるだけ少なくしたい方に向いている治療法で、
近年はAPDの普及率が高まってきています。

透析を始めるタイミングは?
透析が必要かどうかを判断する項目には、主に以下のようなものが挙げられます。
腎臓の機能
腎臓の働きが10%以下になった時が導入の1つの目安となります。
症状
腎臓の機能が極端に低下すると、吐き気や皮膚のかゆみ、イライラ感など、さまざまな症状が現れてきます。
日常生活への障害
寝たきりであったり、外出が困難であるなど、日常生活への支障の有無も判断材料になります。
医師はこれらの項目を総合的に判断して、透析を開始する時期を決めます。
治療法はどうやって選択すればいい?
どちらの治療法を選択するかは重要な問題です。主治医からしっかりと説明を受け、それぞれの特徴をよく理解することも必要です。 尿がほとんど出なくなっている方や、お腹の手術を行っている方は血液透析が望ましく、血液を採る血管がない方や、重い心不全の方は腹膜透析が望ましいですが、 どちらが良いかはケースバイケースです。
また、透析方法は、どちらかしか選べないというものでもありません。個人差はありますが、腹膜透析は残っている腎機能をより長く保つことができますので、 尿が多く出ている場合は腹膜透析から始め、その後に血液透析に移行するという考え方もあります。
医学的な条件だけではなく、ライフスタイルや性格なども考慮して、自分に合った方法を医師と相談した上で選択することが大切です。
| 血液透析 | 腹膜透析 | |
| 治療 | 専門家による治療 治療のたびに針を2カ所に刺す |
自分で透析液の交換などを行う 針を刺す必要がない |
|---|---|---|
| 生活の制約 | 時間拘束が大きい | 自分に合ったスケジュールでできる |
| 通院 | 週3回 | 月に1〜2回程度 |
| 食事制限 | 比較的厳しい | 比較的緩やか |
| 手術内容 | 腕の動脈と静脈をつなげる | 腹膜にカテーテル(チューブ)を埋め込む |
| 旅行 | 透析施設の確保が必要 | 透析液・装置の準備が必要 |
| スポーツ | できる | 腹圧がかかるものは避ける |
| 入浴 | 透析後はシャワー浴 | カテーテルの保護が必要 |
| その他 | 長期的に続けることが可能 | 8年程度で血液透析へ移行 (腹膜の透析膜としての寿命がある) 血液透析に比べ残りの腎機能を長く保つ事が可能 |
まずは透析にならないようにすることが大事です。腎臓の病気を理解し、病気を進行させないようにきちんと治療していくことを心がけましょう。
そして、もし透析になってしまったとしても、それが人生の終わりではありません。日本の透析技術は世界一であり、長生きすることも可能です。 それぞれの治療法のメリット・デメリットをよく考え、自分に合った治療法を自分で決めることが重要です。






